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Garmin Sportsの走力アップへの活用法 1回目


2019年9月よりリリースされたガーミンの新しいアプリ Garmin Sportsをフルマラソンへの走力アップにどう活かしていくか、以下の3回シリーズでアドバイスしていきます。

1回目:ワークアウトを詳しく理解する

2回目:最大心拍数、安静時心拍数、心拍ゾーンの意味と正しい設定の必要性を知りカスタマイズする

3回目:Garmin Sports からランニングウォッチGarmin ForeAthleteにワークアウトを設定し操作法を覚える

1回目:ワークアウトを詳しく理解する

Garmin Sportsは、Garmin Connectのワークアウト(プログラム)機能を進化、発展させたアプリです。ワークアウトとは、プログラムのことです。計画性のある手順のことです。

Garmin Connectにもワークアウト作成機能があります。私の周りにもご自身でワークアウトを作成して、トレーニングに活用しているランナーもいます。

まず今回は、そのワークアウト=プログラムについて詳しく説明しましょう。

ランニングのプログラムは、強度と量で構成されています。

ランニングでいう量を表す指標は、「距離」、「時間」です。

フルマラソンを目指すなら、レースで42.195Kを走り切れるように、日々の練習で量を増やしていく必要があります。毎回の練習で5Kや30分では不十分で、20K、30K、2時間、3時間と量を増やしていくと、脚を長く動かし続ける体力、筋持久力、脚のスタミナが向上していきます。

特に初マラソン完走を目指すなら、レースまでに走った量が完走に近づく大きなポイントです

そして、初マラソンで見事完走できたランナーが、次に目標とするのは記録です。5時間切りたい、4時半、サブ4・・・と。

そのための練習は、もちろん、まずはしっかり走り込み、練習1回あたりの量を増やし、月間走行距離が結果として増加傾向になることです。すると今まで以上に脚のスタミナも強化され、レースで後半に失速しにくい強い脚がつくられていきます。

そして更に、いろいろな強度での練習を行うことが、フルマラソン経験者の走力アップにつながります。

強度について説明しましょう。

ランニングでいう強度を表す指標は、まず「速さ」(ペース=1Kあたり何分何秒か、時速=1時間あたり進む距離)です。Garmin ForeAthleteに表示されます。

「速さ」だけでなく「傾斜(角度)」もあります。上り坂になればきつく感じ強度が上がります。Garmin ForeAthleteに表示される「心拍数」、「パワー」という数値も強度の指標です。

その他、運動指導者の間でよく使う「自覚的運動強度(RPE)」という指標があります。きつい、ややきつい、楽、かなり楽、とか運動している人が今どのように、楽さ辛さを感じているかを表す短い語句です。ランニングの場合は、呼吸の乱れ方を感じて、「ハーハーゼーゼーなら、かなりきつい」、「ハッハッなら、ややきつい」、「スースーなら、楽」と強度を推測することもできます。

5Kや10Kレースの時のように、量(距離、時間)は少ないですが、その時間内で、ペース、心拍数もかなり上がり、呼吸はハーハーゼーゼーと乱れかなりきついと感じる練習をすると、「スピード」の強化、心拍機能やストライドを伸ばす脚のバネが強化されます。

ハーフマラソン時のように、量(距離、時間)はさほど多くありませんが、ペース、心拍数もそこそこ上がり、呼吸は「ハッハッ」とやや乱れややきついと感じる練習をすると、限りある筋肉内のグリコーゲンを節約して、あり余る体脂肪をより燃やして、「スピード持久力」の強化、マラソンペースに余裕ができ速くかつ長くかつ走れる体に変わっていきます。

またフルマラソンより遅いペースでは、呼吸も乱れずまた脚にも余裕を感じ走れるので、一人の練習でも量を20K、25K,30Kと伸ばせ、結果的に強固な「脚のスタミナ」が出来上がっていきます。

まとめると、この表になります。

さて、ここからGarmin ConnectとGarmin Sportsのワークアウト(プログラム)に関してです。

Garmin Connectで、メニュー(スマホでは「詳細」)から、トレーニング>ワークアウトと画面を進めると、自分ためのワークアウトの作成ができます。

↑この図のように、通常、量は時間または距離で設定します。途中で強度を変えたい場合は、複数のステップ(段階)に分けます。予め量を決めなくその日の調子に応じて、途中からペースアップする場合や公園の周回走や河川敷の往復走の場合は、量の項目「ラップボタン」を選びます。

強度は、ペース、速度、心拍数ソーン、心拍数の中から選びます。ケイデンスとは、ピッチ(脚の回転数)のことです。通常ピッチが大きくなればペースも上がりますので、強度の項目になります。

このように、自分のプログラムを自分で細かく作成できる人は、Garmin Connectを活用できます。

しかし、多くの市民ランナーは、どのようにプログラムを立てたらよいのかわからないでしょう。また自分の目標達成のために最適なプログラムを行いたいとも思っているでしょう。

そこで、Garmin Sportsの出番です。

Garmin Sportsこそが、ランニングコーチが作成したワークアウト(ランニングプログラム)を選べ、受け取れる場なのです。

一般的にランニングプログラムには3つの種類があります。

ひとつ目は、1対1のパーソナルプログラムです。

コーチはあるランナーのためだけのオリジナルプログラムを作成します。そのランナーの性別、年齢、体力度、走歴、記録、目標を把握します。目標レースまでの細かなプログラムを立て、また練習の結果によって随時プログラムを更新していきます。但し、やり取りの時間と指導を受ける費用もかなり必要です。

次は、走力別のグループプログラムです。

Garmin Sportsの他、書籍などでも、よくサブ4.5、サブ4、サブ3.5を目指すプログラムを見つけることができます。20K走はこのペース、1Kインターバル走ならこのペースで何セットなどと。でも多くのランナーは、まだそのタイム目指すのに十分な走力、体力がないのに背伸びしたペースで走り、結果的に量(距離、時間、セット数)をこなせずに挫折しているランナーが多いのです。

例えば、サブ3.5を目指すなら直近のレースで3時間37分以内の走力が最低でも必要です。走力3時間45分なのに、ロング走練習を5:00/kでスタートし、20Kでやめているケースもよくあります。

走力別のプログラムは、目標ありきのプログラムなので、その走力にかなり近いランナーには適切な強度になりますが、まだ走力差があるランナーが背伸びして行うと走力アップどころか、走力の伸び悩みや走力ダウンになってしまいます。

3つめは、走力に関係なくどのランナーにも適したプログラムです。

どのランナーにも適した?と聞けば、上の走力別のプログラムより質の良くない、アバウトなプログラムと思えるでしょう。でもこれは大間違い、Garmin SportsとGarmin ForeAthleteを連携して実践すれば、パーソナルプログラムにも負けない、質の高いオリジナルプログラムになります。

そのためには、「心拍ゾーン」を強度の指標として活用します。私が作成したGarmin Sports内のトレーニングプランとトレーニングコースは、ほとんど「心拍ゾーン」で強度を設定したワークアウトで構成されています。

提供されたワークアウトを、心拍ゾーンに従い走れば、どの走力レベルのランナーも多くの場合目標距離をこなせます。

当然、走れるペースは、ランナーによってバラバラです。しかし、次回、次週、来月に、その心拍ゾーンで走り切れた時の平均ペースが良くなっていれば、走力は上がっている、目標のレースタイムに近づいていると確認できるのです。

そのような計画された距離、セット数を継続的にこなしていくと、その結果、今でと同じペースでも楽、余裕ができた、あるいは今までと同程度の心拍数でもより速いペースで走れるようになっていき、これが走力アップしている証になります。

次回は、Garmin Sportsの ↑この画面、

最大心拍数、安静時心拍数、心拍ゾーンの意味を知り、Garmin Sportsでのカスタマイズの仕方を説明します。

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